2008年08月13日
第7回文化公演脚本
不思議の国(原作 松尾恵 脚本 藤村 恭一)
これから始まる物語は、希望を失った二人の男の話です。
ここは都会の真ん中
一人の男が今日もいやいや仕事をしています。
彼のしごとは、夜中にマンホールの点検をする仕事です。
あ!うわさをすると、その男が今日もマンホールの点検にやってきました。
(舞台 上手 花道上手より登場・・せりだしまで、だらしなく歩く)
A 「あーあー、今日もみんなが眠っているこんな夜中に、マンホールの点検か。俺っていったいいつまでこんな仕事してるんだろ。」(大きなため息)
(舞台 下手からBがとことこと登場 Aに気づき元気なく)
B 「あ!先輩!お先に 今日は早番だったんで、これで失礼します。朝まで頑張ってください。!」(元気なく立ち去ろうとする)
A 「ああ!これからアパート帰ってねるんか?」
B 「はい、べつにすることもないんで寝ます。」
A 「そうだよな!彼女いるわけでもないし、いたとしてももう夜だしな。」
B 「はい寝ます。いい加減、こんな仕事やめようかとおもっているんですけどね、他にやりたい仕事もないし、何やったって面白くもないし。では、お先に。」
(Bが立ち去ろうとすると)
A 「おい、あぶない 」 (Bを呼び止めようとする)
B 「 ん?なんです?(振り向いた瞬間 バランスをくずし、マンホールの中へ)うわあ!!」 (張り出し舞台からB落ちる)
A 「おーい!だいじょうぶかー?」
どうやら、一人の男が、マンホールに落ちたようです。
しかし、かなり深いらしく、底に落ちた音が聞こえません。
もう一人の男はマンホールの中を覗き込みました。
ところが、マンホールをのぞいても真っ暗で何にも見えません。
ふと、何者かが後ろから男を押したように感じた瞬間。
男は、吸い込まれるようにしてマンホールの中へ落ちてしまいました。(暗転)
(張り出し舞台からA落ちる)
(二人はすぐ張り出し舞台に上がる) 続きを読む